途中からかなり難しくなってきて全てを読むことを諦めてしまった。
人間の社会と身体の最小単位である細胞というものは似ている、という話だった。
細胞には膜がある。それはつまり内界と外界を区別するものである。そしてその細胞をコントロールしているのは核という存在である。これを人間社会に当てはめてみると、膜とは例えば国家であったり、核とはそれをコントロールしている政府であったりする。
しかし実際のところ世界というのは果たして区切れるものなのか、ということを筆者は提示する。アメリカ人でもあり日本人でもあるようなグレーゾーンに存在する人もいるだろうし、グローバル企業などは国という境界をいとも簡単に超えて活動したり納税したりする。
まるで網の目のように世界はネットワークを築いている。膜を作って境界を作るのではなく、網の目のようなネットワークの一部として自分を捉えるということはできないのか。個人は分けられるものであり、分人として様々なところに所属できないのか。
このような話、最近よく聞く。
既存の関係、例えば会社と個人、家族と個人、国家と個人というものかある。それぞれの関係性は状況に応じて変化していくことが難しいということから、それなりの課題や問題点がある。
しかし、いまやインターネットを介して新たな人間関係を結ぶことが可能となり、ネット以前の社会では出会えなかったような人たちと瞬時に出会えたりする。その世界では上下関係などはなく、無数に紐付かれたネットワークがあるだけだ。
技術の変化によって、時代は変わっていく。膜を張り自分の存在を固定化するのではなく、網の中に自分を溶けさせて、多くの人と関係するのもなかなか面白いのではないだろうか。
AからBになめらかに移行する。境界などない。そんな世界ってどうですか、という本でした。