これを読んでいて、形容詞が多いなと感じました。その服がどんなだ、とか、雪がどんな風に吹いているとか。ムーミンの家にはどんな家具がある、とか。
小説と新書の違いというのを考えてみたんですが、形容詞や副詞なのかなと。それらは何かを飾る単語たちです。
つまり、具体的な描写が多いか、多くないか。
新書は主にデータを用います。数字が出てくることが多いですね。そこにはどんな数字だという情報はいりません。尖った数字もいませんし、丸い数字もいません。数字は数字です。読者は客観的に状況を判断します。
しかし小説には描写が何よりも必要です。
それはつまり、「もしあなたがその現場にいたのなら、きっとこういうことを感じるでしょう」っていうことを描写しているのかなと。
そうすることによって読者をその世界に連れて行くことが出来る。その描写が細ければ細かいほど、読者はその世界に馴染んでいく。
日の光は明るいか、暗いか。空は曇っているのか。あなたがそこにいたのならきっとそれを感じるでしょう、ということを描き出す。
読んでいる人に想像力を掻き立たせる。
それを感じさせる小説家が、素晴らしい小説家なのかもしれません。
ムーミン谷の冬はうら寂しいようで、しんとしています。