レシピを小説のように長文で具体的に書いてみようと思う。
思うにレシピが分かりづらいのは情報が少ないからだと思う。
「焼く」というのでも、どの程度焼くのか分からない。こんがりと焼くのか、しっとりと焼くのか。もっと具体的に描写してみたい。
題材は、この前作った筑前煮。
「筑前煮」
九州の地名と関係があるのだろうか。
とにかく僕は筑前煮というものを作ってみることにした。参考にするレシピは、笠原さんという料理家のレシピ。
まずは出汁(だし)を作る。和食の基本は出汁である。これがなくては何も始まらない。
レシピによると出汁が4カップ必要らしい。1カップは200㏄だ。ということは、この筑前煮を作るためには800㏄の出汁が必要になる。
こんなに必要なのか。ちょっと入れすぎじゃないか。味噌汁も作りたいから多めに出汁を作ろう。
まずはお鍋に水を1リットルほどいれる。イオンで買ってきた出汁用カット昆布を二枚ほどいれた。昆布は水につけておくと旨味が出る。少し置いておく。
その間に筑前煮の材料を切っておく。鳥のもも肉、人参、ごぼう、里芋、こんにゃくを入れることにした。笠原さんのレシピによると、レンコンと椎茸も入れるようだ。なければないでいいではないか。
まずは半分に切ったこんにゃくを手でちぎる。包丁で切るより手でちぎったほうがいいらしい。理由はよく分からない。そのまま小鍋で10分ほど茹でる。こんにゃくは下ゆでしないと生臭い。
人参は乱切りだ。まずは皮をむく。人参は皮ごと食べれるが、一度息子が嫌がったため皮をむくようにしている。先端の方から斜めに包丁を入れる。一太刀いれたら人参をくるりと45度回す。そしてまた一太刀いれる。そうすると先の尖った不揃いの人参たちができる。人参は半分ほど使用する。
鶏モモ肉はすでに切ってあるものを買ってきた。唐揚げ用のものだ。便利な世の中だ。この鶏肉はブラジルからきている。地球の反対側で大量の鳥が育てられ、鶏肉となっているのか。
ごぼうは、皮を包丁の背でこそげとる。新ごぼうは、それほど皮をむかなくてもいいらしい。これも乱切りにする。僕はごぼうが好きなので二本ほど切った。
里芋は皮をむく。里芋のてっぺんと、底の皮を平行に切る。そして、てっぺんから底に向けて縦に切って皮をむく。コツは皮を厚めにむくことだ。皮の下は固い。思い切りよく皮を切り落とす。そうすることによって綺麗な形で里芋の皮をむくことが出来る。
里芋とごぼうは水につけておく。芋類などは水につけておくとアクが出るらしい。ただ本に書いてあったから実行している。本当かどうかは分からない。
30分ほど経っただろうか。昆布から出汁が出ている。見えないので、にわかには信じがたい。
昆布から出汁がでた鍋を火にかける。昆布よ、どんどん出汁を出してくれよと思いながら。
ふつふつと昆布から小さな泡が出る。そろそろ昆布を出してもいいころだ。昆布を茹ですぎるのは良くないらしい。昆布を取り出す。
鰹節を一掴み投入する。ふわっと鰹節が広がる。そして1、2分ほど弱火で茹でるのだ。
ボウルを用意して、その上にザルをセット。ペーパータオルを敷く。
その上に出汁を注ぎ込む。ふわっと湯気が湧く。鰹節のいい香り。
ペーパータオルに引っかかった鰹節たちを捨てる。君たちの役目は終わったようだ。お疲れ様である。
これで昆布と鰹節の出汁が取れた。
それでは筑前煮に戻ろう。
フライパンに油を少しひいて、鶏肉を皮目のほうからセットする。焼き目がついたらひっくり返す。表面を焼いておくと旨味が逃げないらしい。
そのまま他の具材をいれる。人参、こんにゃく、ごぼうたちだ。じゅうじゅうといい音をたてる。木べらでよくかき混ぜて。焦げないように。
全体に油がついてツヤツヤしてきた。出汁4カップを投入する。砂糖も大さじ二杯分入れる。
ふつふつと煮汁が煮えてきた。鶏肉からアクが出る。丁寧におたまですくってあげる。ジャーナリストの佐々木俊尚さんによると、この作業が大事らしい。
ペーパータオルを濡らして、煮物の表面にかぶせてあげる。落としぶたである。こうすると煮汁が具材に染みやすくなる。余分な煮汁が蒸発していく。
10分ほど茹でただろうか。醤油を大さじ三杯、みりんを大さじ一杯いれる。醤油とみりんは和食の味付けの定番だ。醤油とみりんは同じくらいの分量入れてあげると味が決まる。今回、砂糖を事前に入れているのでみりんが少ないのだろう。
そのまま15分ほど弱火で煮る。
すべての材料が柔らかくなり、味が染みていく。
筑前煮の完成である。
里芋はホクホク、人参も柔らかい。全ての根菜たちが食べてくれと言わんばかりの状態だ。鶏肉から出た旨味も手伝って、汁さえもうまい。
また作ろう。