ノマクニヒコのブログ

書きたいことを書きます。

村上春樹さんの職業としての小説家、読んでいてとても参考になりました。

村上春樹さんの職業としての小説家読み終わりました。すべての章が興味深く、読み終わるのが惜しい本でした。

本の内容に触れます。

海外展開について書かれてあった章がありました。

80年代半ばに、アルフレッド•バーンバウムというアメリカ人が村上さんのところにやってきて、いくつか作品を翻訳したいのだが翻訳してもいいかと聞きに来たそうです。彼の翻訳によって村上さんの作品の英語バージョンが生まれました。これのおかげで海外展開の足がかりとなったそうです。

特に意図していなくても何かを発信していると反応する人が勝手に現れる。とても興味深い話です。

村上さんは読者層を想定して小説を書いているわけではなく、自分が書いていて楽しいと思えるものを書いているそうです。小説を書くことは一種の自己治癒的なものでもあると語っていました。

とはいえ、ただの自己満足ではないです。一冊の長編小説を仕上げるのに1年はかかるとのこと。

例えば海辺のカフカの場合。

これは主にハワイのカウアイ島で書かれました。朝早く起きてコーヒーを温め、四時間から五時間書き続けます。1日につき400文字原稿用紙を10枚書くのが決まり。多くても少なくてもいけない。

4月の初めに書き始め、終わったのが10月。原稿用紙にして1800枚。

第1稿が書き終わると、一週間ほど休みます。次に頭から推敲を始めます。第1稿では物語を思いつくままに書いているので、矛盾する箇所、筋の通らない箇所が出てくるそうです。そこを直していきます。大筋を直します。その書き直しに一、二カ月かけます。大量の文章を頭から直すのだから時間かかりますよね。

それが終わるとまた一週間休みます。次に二回目の推敲にかかります。今度も頭からやります。もっと細かい部分に目をやって、会話の調子や風景描写を細かく書き込んだりするそうです。

そしてそれが終わると長い休みをとるそうです。半月から一カ月ほど棚の中に原稿をしまってしまう。そんなことがあることすら忘れてしまう。

作品をじっくり寝かせたあとで、再び細かい部分を推敲していくそうです。期間を置くことによって客観的な視点で作品を見ることができるのでしょう。

やっと完成かな?と思ったところで、出来た原稿を編集者ではなく奥さんに見せるそうです。身内の人間なら思い切りいいあえるし、文句も的確だからだそうです。

奥さんの意見を参考に、引っかかる部分を直します。そして最終的に編集者に見せます。

一冊の本を仕上げるためにここまでの労力がかかっているのですね。分量があるのに緻密な作品になるわけです。

職業としての小説家。村上さんの作品が好きならお勧めです。



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