僕はいま南アフリカに来ています。
南アフリカは、もともとオランダとイギリスに支配されていたそうです。喜望峰を回って、インドへ向かうのに重要な港町だったんでしょう。寄港地という点で。いまは、マグロ漁船が寄港地として利用しているそうですが。
ここではおよそ20年前まで、アパルトヘイトという人種隔離政策が行われていて、白人と黒人が区別されていました。
住むところも違うし、白人と黒人で結婚もできない。
現在は、ネルソン•マンデラ大統領のおかげでそのような政策は行われていないのですが、やはりその痕跡は残っています。
空港から車で市街地に向かうと、スラム街が形成されていました。
貨物列車の荷台を使ってお店を開いているようです。床屋さんもあったし、果物屋さんもありました。ここはここでコミュニティが形成されているんですね。おそらく物価も違うでしょう。
このあたりは治安がよくないそうです。白人の人は全く歩いていません。僕らもバスで通り過ぎるだけです。
変わって、市街地はものすごい都会です。東京と変わらないレベルです。スリなどに合う危険があるので、迂闊には街を歩けないのですが。
僕らがいつもご飯を食べている場所は、ウォーターフロントといって、海に面したショッピングモールです。中にはapple storeもあるし、H&Mもある。映画館も入ってる。日本でいうなら、ららぽーとに近いですね。外人さんしかいない、ららぽーと。
ここには白人の人も歩いているし、お金を持っている黒人の人も歩いてる。
ルイボスティーを求めに、日本の高齢者も歩いています。意外に日本の人たちいます。
つまり、隣接したエリアに、異なるコミュニティが形成されているんですね。
スラム街と都会。
その境界線は実にハッキリしています。
もちろんお互いに交流することはない。人種隔離政策は終わったのだけど、勝手に離れて暮らしているわけです。
政府は、スラム街の近くに公営の住宅を建てて、そこにスラム街の人たちに住んでもらうようにしているそうです。
スラム街をそのまま放置しておくことも出来ないのでしょう。
スラム街の人が飢えているとか、不幸そうとか、そんなふうには全く見えませんでした。むしろ穏やかに暮らしているように見えました。アフリカの人たちって基本的に穏やかそうです。ゆる〜い感じ。
つまり、スラム街の人たちはお金を使わない生活をしていて、都会の人たちはお金を使う生活をしている。
スラムの人たちは、自分たちだけで生活していて、都会の人は、海外の製品も食べ物もどんどん輸入する。
貧富の差って、幸福と不幸の差みたいに思われがちですけど、それぞれの生活スタイルの違いな気がします。貧しいから不幸とか、お金があるから幸せとかハッキリとは言えないでしょう。日本でも田舎に移住して、お金を使わない生活を楽しんでる人もいる。
ただお金がないことによって、学びのチャンスが奪われたり、就きたい仕事に就けなかったり、まともな医療が受けられないのであれば問題ですよね。お互いに交流しなかったり、治安が悪くなっても問題です。
政府の人が公営住宅を作って、こちら側に引き込もうとしているのも分かります。