ノマクニヒコのブログ

書きたいことを書きます。

京都大学総長山極さん、冒険家関野さんの対談をみて。

今は深夜3時半。起きてしまった。

 
特にやることもないので録画したテレビでも見ることにした。
 
NHKの番組、「達人達」を見ることに。
 
これはある有名な人が対談したい人を指名してお互いにインタビューし合うというもの。お互いにその世界を渡り歩いてきた人たちなので質問も深い。回答も面白い。
 
今回は京都大学総長の山極さんと冒険家の関野さんの会をみた。再放送だったらしい。夏なのにわざわざ外で対談していた。二人の汗がしたたり落ちていた。きっと外が好きな人たちなんだろう。
 
山極さんはゴリラ研究の第一人者。若い時にアフリカでゴリラを観察していたようだ。
 
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(多摩動物公園で撮ったチンパンジー)
 
関野さんは人間がアフリカから南米のチリまでどのように旅してきたかを実際に自分の身体を使って旅をした。
 
エンジンのついた乗り物は使わない。カヌーや自転車、犬ぞりなどで旅をした。数年前グレートジャーニー展というものが国立科学博物館で開かれ、それを見にいった記憶がある。
 
ゴリラやチンパンジーなど霊長類を研究してきた人と、原始的な村を旅してきた人。
 
それらの経験を通して人間というものをどう見るのか。インタビューはそういう内容だった。
 
テーマは三つだった。
 
「家族」
「戦争」
「病気」
 
家族は人間の家族や社会の作り方について。
 
「食べ物をシェアすること、共に子育てをすること」
 
それを山極さんは人間の最も特徴的な部分だと言っていた。ゴリラやチンパンジーは食べ物をシェアしないし子育ても共にしない。
 
ゴリラは一頭のオスが複数のメスを保有する。一夫多妻だ。一つの共同体は他の共同体と協力したりはしない。
 
チンパンジーは乱交状態。メスが発情期になるとお尻が赤くふくれる。それを見たオスが次々に交尾するらしい。
 
赤いお尻は多摩動物公園でみた。
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それに比べて人間は食べ物をシェアするし、子育ても共にする。家族ごとに家を持ち社会を作る。
 
人間の女性の発情期は分からない。分からないが女性側から仕掛けて男性を誘い出す。女性側が発情期をコントロール出来るようだ。そのせいで女性は化粧をするなど着飾って狙った男を誘惑するのではと山極さんは言っていた。
 
「戦争」
 
戦争はなぜ起きるか。あるシンポジウムでは土地をめぐって戦争が起きるということを言っていたらしい。
 
しかしアマゾンの部族にとっては土地はみんなもの。争いあうものではない。女の人を違う部族に取られたということで争いが起きるらしい。しかし殺し合いまではいかない。
 
まずは話し合う。それで解決しない場合、どちらかの部族が村に行って「胸たたき」の儀式を行う。
 
お互いの村人がお互いの胸を叩き合うらしい。表情が怖気付いた方が負け。それを村人全員やる。そしてどちらも「こちらが勝ったな」という気持ちを持って儀式を終える。その勝利感があれば殺し合いまでには発展しない。男というのはメンツを意識するのでそれが保たれればそれでいいのだ。
 
「病気」
 
これは関野さんが医者ということで話をしていた。世界中で使える技術だということで30歳で医師免許を取得したらしい。出身大学は文系大学の一橋大学というのに。何歳になってもやりたいことがあったらやれるのだということを証明している。
 
 
<まとめ>
全体を通してみて一番心が動いたのは関野さんの「なぜ一見すると無駄なことをやるか」ということ。
 
関野さんはインドネシアから石垣島まで船旅をしようと思った。人類が経験した船旅だ。いかだのような船を使う。動力は風だけ。
 
船を作るために、道具の斧作りから始めた。砂浜で砂鉄を取る。たたら製鉄で鉄を作る。それを鍛えて斧にする。そしてその斧を使って木を切り倒す。
 
斧など金物屋に行けばすぐに買えてしまう。なぜそんな無駄なことをするのか。
 
それは無駄なことをすることによって何らかの「気づき」を得れるからだ。
 
鉄を作るためにはどれほどの労力が必要なのか。鉄を作るためにどれだけの燃やす木が必要なのか。そういうことをこの長い経験を通して感じることが出来る。短期的な結果を求めてしまうとこういう気づきは得られない。短期的な結果を求めると人は失敗を恐れ、冒険しなくなる。
 
一見無駄なことでも、それを経験することによってたくさんの気づきを得れる。
 
研究や冒険というのは、どちらも途方もなく時間がかかるものだ。しかしその長い経験を通して捻り出された言葉は深い。重みがある。信頼感がある。
 
そういう言葉が捻り出せるような経験をこれから積んでいけたらいいと思った。