村上春樹さんの職業としての小説家がとてもおもしろい。いま9章まで読んだ。ああ、あと2章で終わってしまうと思って、大切に1文字1文字噛みしめるように読んでいる。
なんといっても面白いのは小説を書くということの舞台裏を細かく村上さん自身が説明してくれることだ。こんなツアーは他にない。長編小説を書き上げるための過程や、登場人物はどのように生まれてくるのかなど、今まで語っていなかったようなことが細かく書かれている。
物語を進めていくうちに勝手に登場人物が浮かび上がってくるらしい。さすがに僕も本当にそんなことが起こるのだろうかと疑っている。林真理子さんの場合も登場人物が自分を書いてくれと訴えかけてくるらしい。これは嫁さんが言っていた。
村上さんは現在66歳だが、15歳の少年にもなれるし、20代の女性にもなれる。そこにそれぞれのキャラクターの靴が置いてあって、自分の足を変化させて履く。その登場人物になりきってしまうのだ。自分自身を投影しているということもあるだろうし、これまで会ってきた人たちのデータがそのキャラクターを作っているのかもしれない。まるで磁石が鉄を吸い寄せるみたいに登場人物の詳細な情報が勝手に集まってくる。
アイデアみたいなものから物語が始まって、そこから勝手に登場人物が現れる。村上さん自身もどんな人物が出てくるか分からない。脇役が主人公に対して「あなたはどこそこに行くべきだ」みたいな啓示を行い、物語が発展していく。その発言は村上さん自身、予期していない。村上さんの場合女性キャラクターがそういう啓示を行うことが多いらしい。
女の人が男の人に対してなんらかのお告げのようなものを行うというのはわかる。女の人は感受性が強いのか霊感が強いのかわからないが、たまにそういうことを言ったりすることがある。たぶん言語化していないだけで、普段何かを感じているのだと思う。インスピレーションといってもいいだろう。
1本くらいなら誰にでも小説は書けると村上さんは言っていたし、もし出来るなら何か書いてみたい。物事を結論づけずダラダラと書き続けることに意味があるらしい。謎の分野だ。僕はどちらかというとすぐに結論を出す人だったから。
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